令和2年第1回(3月)定例議会 一般質問

3月12日に行われた、令和2年第1回定例会 本会議 一般質問の映像が掲載されました。
議会中継は、一度生放送されるのですが、その後すぐには掲載されず、編集作業を経て一週間程度後に再度掲載されます。

市民の皆さんにお願いしたいのは、議員を選ぶ際に、是非一般質問を見比べていただきたいということです。
すべてが分かるとは言いませんが、議員個々の考え方や能力が端的に現れているはずです。
毎度15人前後が登壇していますので、全てを見る時間はなかなか取れないでしょうが、せめて一度はチェックして、選んでいただきたいと思っています。

三豊市議会のサイトで視聴

それでは各質問について解説いたします。

質問1:デジタルファースト宣言について(答弁:市長・政策部長)

1問目は、令和2年度三豊市施政方針に書かれた「デジタルファースト宣言」(リンク先18ページ後半)について、具体的にどのような施策を検討しているのかについて質しました。
国が示す「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」の横断的目標である「地域におけるSociety5.0の推進」や、スマートシティスーパーシティ構想との関係性についても伺いました。

答弁(抜粋)

  1. 既に効果、成果も出ているデジタルマーケティングの活用による関係人口の創出・拡大、移住・定住の促進、観光コンテンツの情報発信、産業立地、ふるさと納税の促進、特産品の販売を進める関係人口施策のデジタルファースト

  2. AI、ICT等先端技術を活用し、市民サービスを最適な形で提供することで、教育、子育て、防災、福祉等のさまざまな分野における市民の利便性の向上を目指す市民サービスのデジタルファースト

  3. AI、ICTなど先端技術を活用し、ペーパーレス化の推進、業務の効率化や高度化を図るとともに、データ活用による自治体運営の生産性向上を目指す自治体運営のデジタルファースト

以上三つの分野を重点的にデジタルファーストに取り組む。

スマートシティ、スーパーシティ構想など、まさに本市が今後目指していくデジタル化、ビッグデータの活用、AIやIoTの浸透で人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させるデジタルトランスフォーメーションな施策展開と合致するものである。

とのことでした。
具体的な施策という問いに答えたものではなく、このような方向性を目指すという内容でしたが、1番目のデジタルファーストについては、すでに父母ヶ浜のPR等で成果の現れている分野を強化するということであり、2番目・3番めについては、2問目以降の質問に係る内容であったため、ここで深くは追求しませんでした。

かわりに、三豊市総合政策アドバイザーであり、内閣官房クールジャパンメンバーの陣内裕樹氏から三豊市に対して提案のあった「デジタルファースト条例の制定」について、その考えがあるのかどうか聞きました。

答弁(抜粋)

現在は東北地方の複数自治体で条例制定に向けた動きがあるとのことです。このデジタルファースト条例につきましては、地域や行政の基本的スタンスをあらわす理念的条例の類のものであり、この条例が制定されたからといって、市民の皆さんの日々の生活が急激に変わったり、何かを制限したり罰則を設けるものではありません。このような話題こそ、タウンミーティングなどの題材として市民の皆さんと議論を深めながら、地域全体の意識の醸成を図っていくべきものだと考えております。
 あわせて、条例の制定ですので、市議会の皆さんの十分な御理解をいただけなければ成り立たないものですので、本件につきましては、今後十分な議論を皆さんとともに進めてまいりたいと考えております。

ということで、これはすぐに取り組もうとは考えていないということです。
しかし理念条例とはいえ、今後の施策立案の根拠になるものですから、いま問題になっている香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」などより遥かに有意義な事例になるはずです。
是非前向きに取り組んでいただきたいと考えています。

 

質問2:地域課題の抽出における「住民情報」の活用について(答弁:政策部長)

これは「自治体運営のデジタルファースト」に係る提案です。
施政方針に、

国勢調査の調査結果や住民ニーズを的確に把握した基礎データによる施策、つまりエビデンスに基づく政策の展開に努める国勢調査の調査結果や住民ニーズを的確に把握した基礎データによる施策、つまりエビデンスに基づく政策の展開に努める

とあります。
いま流行のEBPM(Evidence-based Policy Making、エビデンスに基づく政策立案)に取り組むということです。
しかし、国勢調査等の各種統計は主に、市区町村を最小の単位として集計されている、いわゆるマクロデータです。これが地域課題の抽出に十分に役立つだろうかというのが私の疑問です。
加えて施政方針には、

市内全域に半径2キロメートル程度の地域コミュニティー単位を想定し、二十数カ所のコミュニティーの構築を目指す

とも書かれています。
これは三豊市が掲げる「多拠点ネットワーク型のまちづくり」に係る方策ですが、これら地域コミュニティー単位の課題を洗い出そうとすれば、市単位で集計したデータではなく、大字単位での情報解析が必要になるはずです。

そこで考えていただきたいのが、三豊市などの基礎自治体が持つ最も有効なデータは「住民情報」であるということです。
国勢調査は国民の申告によるもので精度が低く、いわゆるごみが多いデータですが、対して市が持つ住民データは、市職員の皆さんが日々みずからの手で入力された、精度、信頼性ともに非常に高いものです。

これら住民情報を扱うことは、担当課ごとの権限や個人情報保護法を理由に敬遠しがちですが、官民データ活用推進基本法並びに個人情報保護法において、匿名加工をすれば自由に活用してよいとされているため、ぜひ取り組むべきであると主張しました。

更に踏み込んで、これらをオープンデータ化することにより、産業集積にも効果が期待できると伝えました。

答弁(抜粋)

本市が目指す多極分散型ネットワークのまちづくりでの地域コミュニティーを形成するに際しては、より地域に近いミクロなデータが有益であることは言うまでもありません。議員御指摘のとおり、データの匿名化を図っていても、データが細かくなればなるほど個人の特定に至る可能性はあります。一方で個人情報を秘匿化することで、個人情報の属性を維持したままで高品質で効果的な有効なデータを作成することができるものと考えております。まずは庁内での課題抽出のために活用してはどうかという御提案をいただきました。これからこれらを取り扱う市役所職員、地方公務員に関しましては、地方公務員法第34条において、秘密を守る義務が在職時のみならず職を退いた後もその義務が課せられておりますので、その点での取り扱いに関する課題についてはクリアできるものと考えています。
 一方で将来、これらのデータのオープンデータ化は大変有益であると考えておりますが、その前にこのような提供しやすいデータセットをオープンデータカタログサイトに掲載するなど、オープンデータに取り組む庁内体制を事前に整備する必要があると考えています。まずは庁内における地域課題抽出のため、行政データ活用、そして関連部署と協議を行いながら、オープンデータへの取り組みへとつながるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

一応前向きな回答を得られたものと受け取っています。
各担当課の所掌事務で閲覧権限が設定されているなど、住民情報の取り扱いには慎重にならざるを得ないことは十分理解しています。
しかしながら、最も精度の高いデータを自ら持っていながら活用できないというのは、あまりにももったいないため、障害をクリアして実現していただきたいと思います。

質問3:市の情報発信のあり方について(答弁:総務部長)

これは「市民サービスのデジタルファースト」に係る提案です。

新型コロナウイルス騒動では、ネット上で流れたデマによりトイレットペーパーが入手しづらくなるなどの問題が起こっています。これは市民にとって信じられる情報ソースが何なのかということが明確になっていないということを現している考えました。

前回の令和元年第4回(12月)定例会において、「スマートフォンが主流になった今、自治体による情報発信は、子育て世代、事業を営む方、高齢者世代などにセグメントした情報をプッシュ送信すべきである。」と提案したばかりでしたが、今回改めて自治体情報のプッシュ配信について提案することとしました。

前回答弁では市長から「高齢化率35%の中で、スマホだけでよいのか」という見解を示されました。
また総務部長からは「紙媒体を好む層も多く、引き続きより多くの年齢層にアプローチしていく」との答弁もありました。
しかし2019年には70歳代のスマホ率が40%を超えてガラケーを上回り、60代のスマホ率は70%に達しています。
スマホを活用し、ネット配信を求める層に対して紙媒体での情報提供を続けることの是非についても考えていただかなければなりません。

今が最適な情報発信手段を導入すべきときではないかと質しました。

答弁(抜粋)

担当部署では早速複数の情報通信事業者から資料を取り寄せるなどして、既に研究を始めているところでございます。
ホームページの記事の作成、更新にあわせて自動的にミスが起こることなくプッシュ通知できることが理想であると考えておりましたが、幾つかの情報通信事業者の担当者と相談した結果、記事を作成更新したうち、プッシュ通知による情報を選別しなければならないなどの課題もわかってまいりましたので、現在のところ、別の情報通信事業者などにも相談して、ほかにどのようなアプリがあるのかなどの情報の把握に努めているところでございます。
自動的にミスが起こることなくプッシュ通知ができる効率的な機能を求めておりますが、現状ではそのようなアプリを見つけることができてはおりません。

さらに効果測定のしやすいセグメントに限定して実証実験を行ってはどうかと問いましたが、イニシャルコストを理由に良い回答は得られませんでした。
このテーマについては、実施するまで質問し続けますと担当課に対して宣言しております。

質問4:マイナポイントの普及対策について(答弁:政策部長)

マイナポイント事業は、マイナンバーカードの普及促進、消費の活性化、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的とした事業で、キャッシュレス・ポイント還元事業に変わって令和2年9月から令和3年3月まで実施予定となっています。使いたいキャッシュレス決済サービスを自分で選ぶことができ、キャッシュレスでチャージまたは買い物をすると、その支払い額の25%、1人当たり上限5,000円分のプレミアムポイントがもらえますので、2万円のチャージ等で2万5,000円分の買い物ができることとなります。

このように国が行う消費活性化策は、キャッシュレス決済の普及やマイナンバーカードの普及など別の目的があることはさておき、投入される巨額の予算をいかに自分たちの地域に取り込むかということを考え、官民一体となって活用していくべきだと私は考えています。

そのためには、今回の事業の場合、マイナンバーカードとキャッシュレス決済の両方が三豊市内で普及していなければなりません。
それぞれの普及状況と、今後の対応について質しました。

答弁(抜粋)

キャッシュレス消費者還元事業の三豊市内の登録状況は、3月1日現在で364店と増加傾向であり、少しずつ普及していると感じております。
一方、マイナンバーカードの普及状況は、3月1日現在、交付数9,322人、交付率は14.13%となっております。
全国の交付率は15.4%となっておりますが、県内では善通寺市に次いで2番目に高い数字となっております。
本市といたしましては、この消費活性化策を市内で普及促進するために、これまでに引き続き三豊市商工会やキャッシュレス決済事業者と連携し、市内事業者へのキャッシュレス決済端末の導入促進を実施することで、市民の利便性を向上させ、市内での消費拡大を図ることを目指してまいります。また、市民の皆様が本施策を利用するためにはマイナンバーカードの取得が必須条件となっており、事業開始時期が近づくと、マイナンバーカードの交付申請が混み合うことが予想され、申請から受け取りまで1カ月程度かかるため、本施策の概要と早目の交付申請のお願いを広報3月号と市ホームページに掲載し、現在周知を行っております。また、マイナンバーカードの受け取りや更新時においても本施策の案内を行うとともに、必要に応じてマイナポイントの予約となるマイキーIDの設定支援を行っております。

早速、三豊市公式サイトにマイナポイントの紹介ページを作って広報に努めていただいています。
キャッシュレス決済の普及に対しては、これ以上業者向けの啓発を行ってもあまり効果は出ません。どちらかというと利用者(市民)に対してキャッシュレス決済の必要性や、ポイント制度の活用についてレクチャーしなければならないと考えています。

また、ポイントを受け取るためにはマイキーIDの設定も必要で、スマホアプリをダウンロードして行うのですが、簡単とは言えません。個別に設定サポートもしていただいているそうですが、セミナー形式で多人数をこなしていく必要があると訴えたところ、今後検討していくとのことでした。

まとめ

今回の一般質問は、市長の「デジタルファースト宣言」をうけて何に取り組むべきかを考え、時代の変化に適応する自治体であらねばならないということを訴えたつもりです。

今後も自身の専門性を生かして、良い三豊市になるよう取り組んでまいります。

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