【行政視察】実がなるまでの「壁」を市が肩代わり ― あわら市「早期収益型梨団地」

令和8年11月5日、市民建設常任委員会の行政視察で、福井県あわら市を訪ねました。テーマは「遊休農地対策」です。三豊市でも、農家の高齢化と耕作放棄地の増加は大きな課題です。

生産者の危機感から始まった事業

あわら市は、福井県で有数の園芸産地です。丘陵地の畑では、農業委員会が毎年一筆ごとに調査しています。令和7年の荒れた農地は79.1haで、丘陵地全体の約12%にあたります。

令和6年の春、梨の生産者団体の方が市長を訪ね、「自治体として手を入れてもらえないか」と相談したのが始まりです。梨の生産者の平均年齢は約70歳です。廃園が増え、そこが鳥獣のすみかになるという問題も生まれていました。

「早期収益型梨団地」の仕組み

市が遊休農地に梨園を整備し、実が十分になるまでの約5年間を市が管理します。そのうえで、梨棚と共同利用の機械を新規就農者に貸し出します。就農したその年から収入を得られるのが特徴です。

項目内容
面積約3.3ha(うち梨棚は約2.7ha)
事業費約3億7,600万円(国と県の補助事業を活用)
入植の予定1人50aずつ、約5人
使用料梨棚は10aあたり年12万円、機械は年36万円
目標の所得年250万円以上(認定新規就農者の基準に合わせた最低ライン)
貸し出しの開始先に整備する地区は令和15年度の予定

市は土地を買い取りません。地権者の同意を得て整備し、管理の期間は農地中間管理機構が間に入ります。市が資産を抱え込まないように工夫された設計です。

1人あたり50aという面積にも理由がありました。新規就農者が1人で1haに挑んで、体を壊した例があるそうです。収入だけでなく、続けられることまで考えた数字だと感じました。

私が注目したこと

果樹だからこそ、自治体が入る。野菜なら植えたその年や翌年に収穫できます。そのためあわら市では、JAが中心となってハウスを整備し、農家が使用料で費用を返す仕組みが回っています。一方、果樹は実がなるまで収入がなく、その間の費用を誰も回収できません。「ここは自治体が入るしかない」という説明には、強く共感しました。

果樹の産地は、一度荒れると元に戻すのに長い年月がかかります。「フルーツ王国みとよ」を掲げる三豊市にとっても、他人事ではありません。

三豊市で検討するなら

ただし、同じ仕組みをそのまま三豊市に持ち込めるとは限りません。あわら市は地理的な条件から、手厚い国の補助と、国の支援が大きい市債(辺地債)を組み合わせています。三豊市には同じ条件がそろっていないため、財源の組み立てを一から考える必要があります。

あわら市でも、実がなるまでの管理費(5年間で約4,600万円)は市の単独の負担です。私は、三豊市で検討するなら、次の点を最初に整理すべきだと考えます。

  • どの品目を守るのか(特産としての価値と、将来の価格の見通し)
  • 財源をどう組み立てるのか(県の補助、使える市債、ふるさと納税など)
  • 実がなるまでの管理を誰が担うのか
  • JAや県の研修制度と、どう役割を分けるのか

これらを執行部と確認しながら、三豊市の果樹産地を次の世代につなぐ方法を議論していきます。

ご対応いただいたあわら市の皆さま、あわら市議会の皆さま、ありがとうございました。

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