【行政視察】「書く」をなくすだけでは終わらせない ― 木津川市「書かない窓口」
令和8年11月4日、市民建設常任委員会の行政視察で、京都府木津川市を訪ねました。テーマは「書かない窓口」です。三豊市でも導入の準備が進んでいるため、先行する自治体の実際を確かめることが目的でした。

木津川市の「書かない窓口」とは
木津川市は令和4年2月、京都府内の市で初めて「書かない窓口」のシステムを導入しました。市民が申請書を手書きする代わりに、窓口の職員が聞き取りながら申請書を作る仕組みです。利用頻度の高い41の手続きを対象にしています。
導入にあわせて、窓口のつくりも変えました。発券機を新しくし、高いカウンターを座って話せる低いカウンターに改めています。合言葉は「人を動かさず、書類を動かす」。銀行の窓口のように、前の列で受け付け、奥の列で入力と審査をする分担にしました。


数字で見える成果
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 転入の受付時間 | 約16分 | 7分9秒 |
| 市民係の繁忙期(3〜5月)の残業 | 109.6時間 | 63.5時間(約42%減) |
| 会計年度任用職員 | 9名 | 8名 |
以前は、業務が終わった後に、その日に処理した書類を2人がかりで1〜2時間かけて点検していたそうです。システムに入力すれば内容がそのまま反映されるため、この作業が不要になりました。職員にも非常に喜ばれているとのことでした。
市民の評判は、導入当初からよかったそうです。住民異動の申請書を完璧に書ける人は、職員でも多くありません。慣れた職員が代わりに作ってくれることは、市民にとって大きな安心です。

私が注目したこと
一つ目は、システムを入れる前に仕事のやり方を変えたことです。これまでは、1人の職員が受け付けから最後の処理までを担っていました。それを、書類が職員の間を流れていく形に改めています。今の業務にそのままシステムを当てはめても、効果は出ません。業務を先に見直したことが、成功の土台になっていると感じました。
二つ目は、導入直後の繁忙期の乗り切り方です。稼働してすぐに、引っ越しの多い3月が来ます。木津川市はこの時期、従来の紙の申請書も併用して乗り切りました。「3月を乗り切れば、職員は慣れる」という言葉は、これから導入する三豊市にとって貴重な助言です。
三つ目は、まだ実現していないことです。「書かない」は実現しましたが、住民が手続きのために複数の課を回る状況は残っています。他の課でもデータを使える仕組みはありますが、活用はまだ一部にとどまっています。
三豊市への提案
私は、三豊市で導入する前に、今の窓口の待ち時間や手続きにかかる時間、職員の残業時間を測っておくべきだと考えます。木津川市では、システムの効果と開庁時間を短くした効果を切り分けて測る予定はないとのことでした。基準となる数字がなければ、導入した後に効果を検証できません。
また、三豊市は「書かない」で止まらず、住民が窓口を「回らなくてよい」形まで目指すべきです。そのためには、市民課だけでなく関係する課が、検討の段階から加わることが欠かせません。
窓口に来られない方への対応も課題です。木津川市では、コンビニが近くになく支所にも行きにくい地区の簡易郵便局に、証明書を取れる端末を置いています。郵便局の職員が操作を手伝ってくれるそうです。三豊市の支所や出張所のあり方を考えるうえでも、参考にしたい取り組みです。
ご対応いただいた木津川市の皆さま、木津川市議会の皆さま、ありがとうございました。

